登壇者:片岡裕司(株式会社ジェイフィール コンサルタント)
日 時:8月31日(日) 11:00〜12:30
場 所:D501号室

講演内容

本発表では、中高年社員のモチベーション向上、キャリア開発における組織開発型のアプローチについて、トヨタファイナンス社での取り組みをもとに考察する。

多くの日本企業において社員のボリュームゾーンであるバブル入社世代が、中高年世代になりつつある。2013年に65歳定年制も導入され、企業における中高年層の活性化、活躍促進は喫緊の課題となっている。また同時に、社会全体の高年齢化、産業の成熟化を受け、各企業の年齢構成が歪になりだしており、社内での昇格、昇進をベースとしたキャリアアップをモチベーションとする価値観に限界を迎えつつある。

どのように中高年層を活用するのか。多くの企業が、この課題に対して、個のキャリア自律を支援、促進するというアプローチをとっている。自分自身の強みや、生涯キャリアを通じ成し遂げたいことを深く掘り下げことを通じ、社内だけの狭い範囲ではなく、社外に飛び出すことも含めて何をしていくのかを自分で決めるサポートが多くの会社で行われている。

しかし、多くの企業でこのような取り組みが上手くいっていない。その理由は現状の問題が単に個人に帰結する課題だけでなく、職場での関係性に依拠していると言うこと。また、キャリア開発には継続的に、関係性の中で育まれるというプロセスが求められるという観点が不足しているのではないか、というのが本発表の仮説である。

今回は事例研究として、トヨタファイナンス社での中高年活躍促進の取り組みを取り上げる。同社では、中高年の活躍促進を、中高年社員個人の課題ではなく、組織全体の課題と捉えている。本課題の解決に向け、あらゆる世代の社員が活躍し続けることができる組織力を身に付けるという問題意識のもと、組織全体で取り組んでいる。

今回の発表では、本事例の研究から組織全体、職場の関係性を重視したキャリア開発についての有効性を考察するとともに、中高年に限らずダイバーシティ活用への応用についても考察を行う。

登壇者情報

アサヒビール株式会社、同社関連会社でのコンサルティング部門を経て独立。株式会社ジェイフィールに設立から参画。
組織開発プロジェクトやミドルマネジャー向けの研修講師を中心に数多くのプロジェクトを担当。
特に、人づくりを通じた組織風土改革およびその実現に向けた経営機構改革に関するコンサルティングを行っている。
多摩大学大学院博士課程前期修了(MBA) 一般社団法人知識リーダーシップ総合研究所ディレクターを兼務。
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