登壇者:野口正明(スコラ・コンサルト・アジア 取締役)
日 時:8月30日(土) 15:00〜16:00
場 所:D301号室
講演内容
「日本の主要企業において、戦略を議論するテーブルに、ホールシステム・アプローチに秀でた組織開発の専門家が呼ばれることは稀」(金井壽宏先生 2012年11月論文より)という状況に、私たちは強い問題意識を持ってきた。
そして、ビジネスの最前線において、「専門家」の狭い領域にとどまらず、組織の「いま・ここ」の現実を直視して、人・組織と事業の未来を創造することに試行錯誤してきた結果、本質的な戦略課題の発見および実践の場に呼ばれる機会が、徐々に増えている。
いま支援の現場で、新たに私たちがチャレンジしているのが“Management by Learning” through Mindful Dialogue(略称:MBL)である。これは、既知の枠組みをより効率的に運営するために組織の上層から下層に指示を下すやり方に別れを告げ、創発的な対話を中核とするチーム・ラーニングを、リアルなマネジメントサイクルの中心軸に据えるというある意味でラジカルな方法論である。
変化し続けて止むことのないグローバルマーケットにおいて、既存のやり方を当てはめても、未来を見通すことは難しい。そこにMBLを持ち込むことで、組織が直面する「いま・ここ」のRealityを洞察(Insight)し、その上で、まだ見えていない新しいRealityを先見(Foresight)し、選択する道が観えてくる。ここでは戦略か組織かという古典的な命題は無意味で、統合的で創発的な組織能力としてのマネジメント開発(Management Development)こそが求められる。
本セッションではこのMBLの方法論について、実践論を中心に紹介していく。
登壇者情報
日・米の事業会社で、約20年間にわたり人事・人材開発はじめとする複数の職種およびマネジメントを経験した後、2006年スコラ・コンサルトに参画。プロセス・コンサルテーションの方法論を用いて、企業変革のコンサルティング活動に奔走中。
業界を問わず、戦略策定・実行の支援を得意とし、戦略の具体的な展開を導き出す、組織がフォーカスすべき戦略課題を見つけ出すプロセスに定評がある。クライアントが慣れ親しんだ前提をともに疑い、組織を取り巻くリアルな環境変化を直視した上で、市場の一歩先を行く独自性と優位性ある戦略の創発を、日本国内において多数支援してきた。また、本領域における新たな方法論や事例を積極的に外部に発信している。
2013年スコラ・コンサルト・アジア社の設立に加わり、同社の取締役に就任。激変し続け、不確実性が増大しているアジアのマーケットにおいて、上記のアプローチをさらに先鋭化させ、進化した形で実践している。
1988年早稲田大学政経学部政治学科卒。