登壇者:桑原香苗(日本プロセスワークセンター トレーニングディレクター)
    横山十祉子(日本プロセスワークセンター)
    佐野浩子(日本プロセスワークセンター)
    平井みどり(日本プロセスワークセンター)
    松村憲(日本プロセスワークセンター)
    田所真生子(日本プロセスワークセンター)
日 時:8月31日(日) 12:50〜15:20
場 所:地下ホール(DB01/02)

ワークショップ内容

(このセッションは既に満席となっております。)

ダニエル・キムが提唱する「成功の循環」モデルでは、最終的な結果の質を変えるための最大のレバレッジポイントは関係の質だと言われています。メンバー同士が互いに信頼しオープンに協力し合う人間関係の醸成は組織開発の大切な要素ですが、そのアプローチの一つとして、アーノルド・ミンデルが創始したプロセスワークをご紹介します。

信頼や尊重が大切だと頭では理解しても、すんなりと行動を変えることは誰にとっても難しいものです。むしろ無意識の恐れや不安、不信から、自分でも気づかないうちに阻害行動をとっていることがよくあります。プロセスワークでは、個人・一対一の関係性・集団の各レベルで、意図された行動と意図されない行動を観察し、それぞれの背後にある相反する感情の自覚や両者の対話を促すことによって、双方が納得する第三の道を探っていきます。とくに、すでに葛藤状態にある関係性において、恐れや不安などのネガティブな感情をしっかりと扱い、さらに奥にあるポジティブな願いやエネルギーにアクセスして、新たな意識状態から解決を得るための実践的手法をもっていることが特徴です。

その手法の一つが、「ロール」という概念です。上司と部下、社員とお客様といった社会的な役割の背後にある感情を「ロール」として取り出してみると、ある立場に立った時にひとが経験する普遍的な感情を体験することができます。そのレベルでの対話こそ、お互いに人として信頼や尊重を生みだす基盤となっていきます。これはいわば、ふだんの会話(アダム・カヘンのいう「儀礼的会話」「議論」のレベル)から、お互いをふだんより深いレベルで見ていく会話(「内省的対話」)へのシフトを起こすための手法です。それがさらに深まっていくと、メンバーひとりひとりが場の全体の力動を実感し、それぞれの創造性が豊かに発揮される会話(「生成的対話」)につながっていきます。

このセッションでは、その手法の一端を体験して頂き、みなさまの現場での厄介な状況を、ごいっしょに振り返りながら読み解きます。明日から使える介入のヒントにして頂ければ幸いです。

登壇者情報

桑原香苗(くわはら・かなえ)
北米プロセスワーク研究所修士、早稲田大学修士。1991~94年にインドネシアの大学でODAの一環としての日本語・日本文学科立ち上げを行った体験から、人の心と体が深くつながりあい、さらに組織や国など集団の文化規範や歴史に大きく影響されることを実感。その全体をトータルに扱う心理学的手法としてプロセスワークを学び、2005年に北米プロセスワーク研究所で認定資格取得。個人の内なる多様性を重視し葛藤を成長の力にするカウンセリングやコーチング、グループでの感情を含めた深い対話を促すファシリテーションなどを行っている。

横山十祉子(よこやま・としこ)
日本プロセスワークセンターセンター長、TY Practice主宰。米国プロセスワーク研究所認定プロセスワーカー(ディプロマコース卒業)。会計監査業や企業管理職の経験を通じて組織と個人の矛盾を感じ、プロセスワークと出会い、個人の心身の全体性と組織社会の全体性のフラクタル構造に関心を持つ。現在はプロセスワークの国内普及に携わる傍ら、ホールシステムアプローチ、システム思考、U理論、AIなども取り入れながら、組織/地域開発、人材/リーダ−シップ開発を中心に、「部分最適から全体最適へ」の実践を目指して、プログラム開発とそのファシリテーションなどを手がける。自らの全体最適へのチャレンジとして、今年から道志村と東京の二拠点活動に挑戦中。

佐野浩子(さの・ひろこ)
日本プロセスワークセンター副センター長、Presence Bloom代表、臨床心理士。米国プロセスワーク研究所認定プロセスワーカー、同研究所プロセスワーク修士。現在はプロセスワークの普及や教育に携わると共に、全体とミクロレベルで起きてくることのフラクタルな構造を見立てながら、開業、または病院や学校、福祉施設といった場で、組織や家族と個人の成長プロセスを支援している。

平井みどり(ひらい・みどり)
日本プロセスワークセンターファカルティ、「結友留(ゆうりゅう)」代表。米国プロセスワーク研究所認定プロセスワーカー、同研究所プロセスワーク修士および葛藤ファシリテーションと組織変革修士。ミンデル博士夫妻認定プロセスワークのセカンド・トレーニング教師。個人開業の「結友留(ゆうりゅう)」代表として、個人や家族、カップル、組織の変容を、プロセスワークやエネルギーヒーリングを取り入れながらサポート。

松村憲(まつむら・けん)
日本プロセスワークセンターファカルティ、インサイト・プラクシス主宰。米国プロセスワーク研究所認定プロセスワーカー。これまでに臨床心理士として、教育、福祉、産業領域などにおいて多様な個人、家族、組織と関わる。プロセスワークの視点から、個人の内面の変容がいかに社会や組織の変容に大きな力を持つかに魅了されている。ヨガやマインドフルネス瞑想の実践も行い、個と全体、人と社会と自然を繋ぐ接点としての「身体」と「意識」に関心が高い。

田所 真生子(たどころ・まきこ)
日本プロセスワークセンターファカルティ、名古屋大学特任准教授。米国プロセスワーク研究所認定プロセスワーカー、同研究所修士号(プロセスワーク)、名古屋大学大学院国際開発研究科修士号(学術)。ミンデル博士夫妻認定プロセスワークのセカンド・トレーニング教師。
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