組織開発の実践と学習のコミュニティ

第1回総会(2015/6/14) レポート

NPO法人 OD Network Japan 第1回総会

NPO法人 OD Network Japan 第1回総会

2015年6月14日(日)13時30分~ コンベンションルームAP品川にて開催

 

既に梅雨入りをしていましたが、当日はODNJの門出を祝うかのような好天に恵まれました。

12名のボランティアが運営のお手伝いとして関わり、手作り感満載の準備を経て、(1)総会議案説明・決議、(2)新代表の記念講演、(3)懇親会の3部構成となる、特定非営利活動法人OD Network Japan移行後初となる総会が清宮理事の発声ではじまりました。

中村代表理事あいさつ

中村代表理事あいさつ

5月12日付けで互選された中村代表理事の冒頭挨拶のあと、ODNJ事務局長の大島理事が議長として選任され、総会の議事進行役を担いました。総会員数193名に対し、会場参加者42名、書面議決2名、委任状92名の計136名を有していることから、今総会は成立。

「NPO法人となったことの利点は、団体運営をするうえでの仕組みが利用できること」とのことで、その一環でもある議事署名人の役割が説明され、出席者の賛同を得て梅谷さんと金子さんが選任されました。

任意団体からの権利譲渡が行われた2015年4月1日前にNPO法人の設立登記が行われているため、登記日の2015年3月15日から2015年3月31日までの変則期間がNPO法人としての第一期となり、2014年度の活動とともに報告がなされました。2014年度一番の柱は何といっても「年次大会を国際大会として開催」したことであり、当初の予定を上回る420名が参加したとのことでした。また、ODを広めるための活動の一環である基礎講座・体験講座といった講座や研究会、分科会の、柱となるそれぞれの活動にも言及がありました。また、決算報告書の監査をされた山口幹事よりODNJ生みの親として誕生秘話のお話をいただきました。新理事の紹介の上で、審議事項となった、第1号議案(2014年度事業報告)、第2号議案(2014年度決算報告)、第3号議案(2015年度事業計画)、第4号議案(2015年度予算)の承認が行われ、第1回総会は終了となりました。

 

特別記念講演「組織開発 活き活きと働ける職場をつくる」

特別記念講演「組織開発 活き活きと働ける職場をつくる」

第2部として中村ODNJ代表理事による就任記念講演が行われました。ちょうど代表理事による「入門 組織開発~活き活きと働ける職場をつくる~」が光文社新書にて発刊されたこともあり、その執筆を通して考えたことをお話いただきました。

「昨今、組織開発という言葉を耳にする機会が増えてきたので組織開発の盛り上がりが感じられる方も多くなってきたのではないか、とはいえ中身まで分かっている方はまだ多くないと思われる。経営者には特に組織開発について理解して欲しいことから、今回の新書の発刊につながった」とのことです。

既に読まれた読者から「読みやすかったです」とフィードバックをもらい、嬉しかったものの「いつもしゃべっていることですよね」と続き、「ここでしか書いていないこともありますが、あまりバリエーションがないんです」と笑いを誘いました。西川先生、金井先生が代表をつとめられた立ち上げ期から、手弁当で参加者が関わり現在にいたる変遷の説明がありました。

また、参加者に対し問いが発せられました。「なぜ、あなたは組織開発を学び、それを実践し、日本に広がっていくと良いなと思っているのでしょうか」。隣同士でシェアする時間が設けられ、何人かに組織開発に関わる自分の思いについて全体共有いただきました。

6つの組織における諸問題やマネジメント課題としての組織のハードな側面とソフトな側面である人間的な側面の説明に続き、「組織開発とは?を端的に表現すると」の問いに対して再度ペアで話し合う時間が設けられました。1972年に初めて翻訳がなされたOrganization Developmentは、当時は「組織づくり」と訳され、組織の体質改善を意味していたとのこと。また開発は「開發(カイホツ)」という仏教用語から来ており、「自らの仏となる性質を開きおこし、まことの道理をさとる」 という意味があるそうです。とても示唆的ですね。
どれだけの人がどんな関係でということを表す「社会システム」とどういう場所でどういう風に、を表す「技術システム」の最適結合である社会技術システム論を炭鉱労働者が自主性をもって活動した事例の説明がありました。また、ジョハリの窓の誕生秘話を直接ジョセフ氏から聞いてきてこられたからこそのお話もありました。ちなみに固有名詞をつなげただけの「ジョハリ」にはサンスクリット語で神の光という意味もあるとの ことで、会場は「へ~」の嵐に包まれました。

X理論のマネジメント感では人や関係性が疲弊していくのでY理論をベースに取り組む必要があるとマグレガー言ってから55年がたっているものの実は その証拠となる科学的知見がほとんどない。価値観の違うX理論の経営者でも納得できるものが必要であり、研究知見の積み上げをするうえでODジャーナルの研究誌がある。また、組織開発を発展させていくためにも分科会の存在が重要であり、やりたい人がコミュニティーをアメーバ化して発展させていく。ま た、アメリカでは学習する組織のピーターセンゲの勉強会に超有名な企業の経営者が名を連ねていたりするように、経営者への発信も重要と捉えているとのことでした。日本型組織開発の発信や年次大会、講座の充実化などを今後の課題としてとらえています。

そしてNPOとしてスタートしたばかりなので、ODNJ自体の組織開発も必要として記念講演は締めくくられました。

 

合宿の報告

合宿の報告

第3部は隣室に設けられた会場にて飲み放題付ブッフェをいただきながら、わきあいあいとした雰囲気で懇親会が行われました。今年3月に行われたODNJの合宿の報告があり、今回施策としてアクションにもつながった経緯などを説明する時間も設けられました。それに続き、広報委員会、大会委員会、講座・研究委員会、分科会、研究委員会、海外パートナーシップ委員会、法人担当委員会のそれぞれの委員会の活動計画が委員長よりその思いとともに説明が行われました。分科会を立ち上げたい方、ODジャーナル第一号に掲載する論文を募集(今年10月末締め切り、査読あり)しているとのことです。また、各委員も随時募集中となりますのでボランティアで委員にご協力いただける方はそれぞれの委員長までご一報ください。

盛りだくさんな情報発信の場ともなった懇親会は、興奮冷めやらぬ中、上崎さんの一本締めで終了となりました。

 

レポート作成:ODNJ広報委員 池田臨

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