組織開発の実践と学習のコミュニティ

(分科会)中部分科会主催 「人材開発と組織開発の関係を問う」

「人材開発と組織開発の関係を問う」
~理論的系譜と実践現場のリアルから考える~

昨年発足した、中部分科会も登録メンバーが40名を超え、2016年度は主に勉強会や事例研究会など、2,3か月に1回のペースで活動をしています。その中で初めての外部に向けたイベントを企画・実行することになりました。中部地区にODを拡めるとともに、ODNJのことを知ってもらうきっかけになればと思っています。

イベントリーフレット → Adobe_PDF_file_icon_24x24PDFファイル

■講演・対談者

  • 中原淳さん
    nakahara

    • 東京大学 大学総合教育研究センター 准教授。東京大学大学院 学際情報学府 (兼任)。東京大学教養学部 学際情報科学科(兼任)。大阪大学博士(人間科学)。東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院 人間科学研究科、メディア教育開発センター(現・放送大学)、米国・マサチューセッツ工科大学客員研究員等をへて、2006年より現職。「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人々の学習・コミュニケーション・リーダーシップについて研究している。専門は人的資源開発論・経営学習論。単著(専門書)に「職場学習論」(東京大学出版会)、「経営学習論」(東京大学出版会)。
  • 中村和彦さん
    • 南山大学人文学部心理人間学科教授、南山大学人間関係研究センター長。OD Network Japan代表理事。専門は組織開発、人間関係トレーニング、グループ・ダイナミックス。米国NTL Institute組織開発certificate program修了。NTLメンバー。主な著書に『入門 組織開発』(光文社新書)など。

■内容

  • 中原淳さん講演
  • 中原淳さんと中村和彦さん対談
  • 参加者同士のダイアローグ

 

■日時

2017年1月7日(土) 13:30~17:00 (開場13:00)

■会場

南山大学D棟D51教室
名古屋市昭和区山里町18
http://www.nanzan-u.ac.jp/Information/access.html

■定員

130名(先着順)

■参加費

ODNJ会員:無料 / 一般:3,000円
(当日、受付にてお支払いください)

■お申し込み

大変好評をいただき、定員を増やして申込を受けつけていましたが、今回の申込は終了しました。私たちのイベントに関心をお寄せくださってありがとうございました。

(海外委員会)海外カンファレンス報告会

2016 年8月24日から27日にかけて、インドのマイソールにおいてIODAカンファレンスが開催されました。そして2017年10月17-20日には米国ジョージア州アトランタで、ODネットワークのカンファレンスが行われました。

世界のODの二大組織であるIODAとODNカンファレンスの報告会を行います。世界のトレンドを知る機会として、またグローバルなODファミリーの一員としてODNJはどんな活動を期待されているのかを考える機会として、ぜひふるってご参加ください。

■報告者

  • 中村和彦(ODNJ代表理事)
  • ズート鈴木淑子(ODNJ理事)
  • マット・ストーン (Temenos COO・ODNメンバー)

■報告内容

当日の報告は三部に分けておこなわれます。

第一部はIODAカンファレンスの報告について。

第二部はODNカンファレンスの報告と特に米国ODネットワークが推奨しているGlobal OD Practice Framework™ (グローバルOD実践フレームワーク)というOD実践家として持っていたい15のODコンピテンシーをみなさんにご紹介する予定です。

そして第三部はODNカンファレンスのプレカンファレンスセッションで行われたフィードバックスキルワークショップのダイジェスト版を行う予定です。ここで使用するアセスメントモデルは実際に米国国防総省、米国陸軍や米国政府機関でダイバーシティや対人スキル向上の為に導入されているモデルでもあります。

言語については、日本語の簡約がついた形で行われます(特に第三部)

■日時

  • 2017年1月27日(金) 17:00-19:00 (16:30開場)

■会場

■参加費

  • ODNJ会員:2,000円 / 一般:5,000円
    • (当日、受付にてお支払いください)

■お申し込み

お申込みが定員に達したため、受付を締め切りました。

基礎講座 第8回(2017年1月@東京)

「組織開発とは何か」という基礎を、体系的に学習できる日本で唯一の公開講座です。

組織開発の実践者、コンサルタント、経営者、企業の人事部門担当者、研究者など、組織開発を学びたいすべての人にとって必須の内容になります。

■プログラム(予定)

  • お互いに知り合う/ねらいの明確化と共有
  • プロセスとは/グループプロセスの諸要素
  • 組織開発とは(定義や特徴)
  • 支援の3つのモード(エドガー・シャイン)
  • 組織開発の歴史、進め方、価値観
  • 働きかけの4つのタイプ
  • 組織開発の学習ガイドマップ/Q&A

■講師

  • 中村和彦(ODNJ代表理事/南山大学人文学部心理人間学科教授)
  • 清宮普美代(ODNJ理事/株式会社ラーニングデザインセンター代表)

■概要

  • 日時:2017年1月21日(土)・22日(日) 10:00-18:00
    • 二日間の講座です。必ず両日ともご参加ください。
  • 会場:AP浜松町(東京都港区)
  • 参加費:ODNJ会員 30,000円 / 非会員 45,000円(いずれも税込)
  • 定員:24名

■お申込み

  • お申込み受付は終了いたしました。
  • とくにご指定がないときは「ご所属先」で領収書を発行いたします。特別に宛先をご指定の方は、「通信欄」にご記入ください。
  • メールニュースのご登録と会員は別になります。ご確認ください。
  • フォーム送信をすると自動返信メールが届きます。自動返信メールが届かないときは、お手数ですが、事務局までご連絡ください。

 

(会員向け)2016年次大会 資料

2016年次大会の資料を掲載しました。

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(さらに…)

(2016年次大会レポート)『全員経営』の組織開発力を自力で成長させる

大会企画 F-2

  • 『全員経営』の組織開発力を自力で成長させる:オフサイトミーティングの活用・プロセスデザインの自走化
    • 秋田敬介、脇屋美和(ヤマトフィナンシャル株式会社)
    • 2016年7月31日(日) 12:30-13:45

2016年次大会「組織イノベーション」概要はこちらから。
プログラムの詳細はAdobe_PDF_file_icon_24x24年次大会パンフレット(PDF, 30MB)をご覧ください。

レポート

ヤマト運輸は1919年に創業し、1923年には三越百貨店と商品配送の契約を締結。1976年に宅急便の事業を開始。その後、2005年に持株会社制に移行し、ヤマトホールディングスが設立された。2019年の100周年記念に向けて「アジアNo.1の流通・生活支援ソリューションプロバイダー」になることを目標に掲げている。ヤマトでは経営理念が浸透していないのではないかとの危惧から、まず、ホールディングスからオフサイトミーティングを導入。その後、2013年にフィナンシャルでも社長が発起人となって開始。このフィナンシャルにおける実例を紹介する。

当時、本社内、支店間にも壁があり、意思疎通が不十分であった。そして、顧客のニーズが刻々と変化し、支払手段・場所の多様化が顕著になり、競合も増え「業態変革」が迫られていた。当初、経営層から始めたオフサイトは、中堅社員、若手社員に広げた。通常の会議では立場があり自由に発言しにくく、言っては成らない事もある。after 5では本音が出てもその場限り。オフサイトでは会議で言っては成らないことも発言して、不完全な内容でもテーマにして完成に向けて議論。参加者は8~10名、全員私服で机なし椅子だけでまるくなって行なう。最初から、あるべき姿の議論ではなく、まず、それを議論するための土壌創りから始めた。

1年目は社長以下、経営層が集まり、ありたい姿を考えるために相互理解を深め、本当のあるべき姿の叩き台を作った。自分の人生を振り返って開示する”ジブンガタリ”と、仕事に関するもやもやを語る”オモイガタリ”を実施。普段の会議で言えない事や仕事に関する悩みを丁寧に聴く。お互いに悩んでいることが分かり、何でも言える関係性作りができた。 2年目は本社、支店でオフサイトを実施。テーマは全員経営の実現による戦略・課題形成。経営幹部、課長層の課題が近いコトが分かり、成長戦略を作成できた。3年目は自走化に向けて実務者レベルでオフサイトを開始して変革を進化した。数が増えたオフサイトに対応するためオフサイトコーディネーターの養成を開始。月1回のコーディネーター会議で問題点を抽出し、各自のプロセスデザイン力を磨く。 4年目は自走化力UPと全員経営の推進を行い、自分のキャリア形成を推進し、女性社員の採用も始めた。オンの会議にも繋げることができ、社内がきれいで働きやすい環境となった。また、勉強の機会としてYFCカレッジも設立、「美しく進化。」その結果、本社に家族を呼ぶこともでき、マナーや挨拶、トイレの表示等が改善された。

現在、オフサイトコーディネーターは10名。それぞれ立場や年齢が違い、バックグラウンドが多様で、全社共通の課題が分かる環境になっている。

オフサイトが浸透した理由としては、1.強力なスポンサーシップ(社長から開始、経営幹部も体験)、2.コーディネーター制度(認定による社内での認知度向上)、3.社員の向上心、4.環境(社内情報共有ツールの知恵ッターの活用。全社員をオフサイトの対象としたこと。オフサイトの内容を報告をこまめに実施することなど)がある。

現状の課題としては、1.オンとオフの差(理解を得にくいヒト達がいる)、2.時間(次の手を打たないと中途半端に終わってしまうこと)、3.メンバー選定(選ばれない社員の動機が下がる)、4.議論の質(発散だけで終了してしまうことも)がある。

「今ある前提や既存のやり方を超えて新しい価値を生み出す」状態まで社員の関係性を高め、永続的に続けていくことで、スポンサーが変っても対応できる体制にすること、そしてそのために、小さな事でも成功例を出し続け、ポジションに関わらず一人ひとりの成長が実感できる環境を作り、「文化形成」から「文化定着」を目指していきます。

レポート作成:下村拓滋(広報委員)

(2016年次大会レポート)組織の感情風土に働きかけ、自ら変わる組織になるための智慧

大会企画 A-3

  • 組織の感情風土に働きかけ、自ら変わる組織になるための智慧 〜イノベーションは組織の内面から起きる!〜
    • 森川有理・佐藤扶由夫(株式会社ウェイクアップ)
    • 2016年7月30日(土) 10:45-12:00

2016年次大会「組織イノベーション」概要はこちらから。
プログラムの詳細はAdobe_PDF_file_icon_24x24年次大会パンフレット(PDF, 30MB)をご覧ください。

レポート

事前エントリー制ではないため、どのプログラムにどれだけの参加があるのかを登壇者、参加者双方が読めない中、組織の感情風土に働きかけ~の名称が響いたのかもとの登壇者コメントもあったが、20名分程度の椅子に対し60名を超える参加者で会場は大勢の立ち見で溢れた。急遽椅子の追加搬入が行われ、2重の車座となり、熱気を帯びての講演開始となった。

第一部は、内面からの変化による新たな価値の創造という定義にもとづく「革新を産み出す創造的な体質を持った組織」の必要性について説明が行われた。まずは、本日の参加者が組織イノベーションにどの程度興味をもっているか、日々の行動をどの程度行っているかが測られた。7~8割が関心・行動ともに、とても前のめりであることが判明。組織を内面・外面を横軸に、個人・集団を縦軸とする4象限で表すと、左下に当たる「集団の内面」は、多くの組織で手付かずとなり易く、着手しづらさもあってブラックボックス化してしまいがちである。ビジョンや組織風土、そして人間や組織間の関係性などが属する象限であるが、ここに着手することこそが、内面からの変化によるイノベーションにつながるとのことであった。

第2部ではベーリンガーインゲルハイム製薬株式会社の山崎社長により、買収後の工場の組織統合をシステム・コーチング®を介して図っていく事例を当時者の心情も含め共有いただいた。自らが買収側の一工場長から買収先の工場も含めて責任をもつ社長となったことが、どちらかの工場をつぶすのではなく、両工場ともにベンチマーク工場にするという視座の転換に繫がった。買収先の経営幹部に潰すための理由付けをしているのではないかと訝しがられながらも、システムの声をどのように明らかにし、それらにどうやって関わり、アクションにつなげていくかの挑戦を必死で行っていった。世界の50工場を13の戦略工場のみに削減していく中で、5倍速で変革を続けてきたものの買収先の工場がその選定から漏れてしまった。この危機があったからこそ、それを乗り越える上で、難しいとされていた製造工程の組み換えや一本化を実現し、結果日本の二つの工場が共に戦略工場として残る結果を成し遂げることができた。

科学者のバックグランドをもつ山崎社長によるとAとBを掛け合わせると必ずCとなる化学反応は安定しているのだとか。一方で人間は同じ反応とならないから面白いのであり、どんな化学反応を起こすか分からないところに楽しみがあるとのコメントとともに目頭には光るものがあった。そこでのコーチの役割は化学反応を取り持つ触媒であり、水と油を反応させる上でとても重要な役割を担っている。「速く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」とのアフリカの格言がある。どこまで行けるか分からないが、山崎社長にとっては皆で歩むことが重要とのこと、より遠くへ行きたいから。

最後に日本人のリーダーが出来ることとは何なのか?を問い、ドイツでできなかったことを日本でやったら楽しそうだという山崎社長の「やってやろう魂」は、内部実践者にとって参考となる心持ちではないかと感じた。

レポート作成:池田臨(広報委員)

(2016年次大会レポート)デンマークではなぜイノベーションが起きやすく、社会課題が解決しやすいのか?

大会企画 A-1

  • デンマークではなぜイノベーションが起きやすく、社会課題が解決しやすいのか?
    • 大本彩・坂本由紀恵(株式会社Leare)
    • 2016年7月30日(土) 10:45-12:00

2016年次大会「組織イノベーション」概要はこちらから。
プログラムの詳細はAdobe_PDF_file_icon_24x24年次大会パンフレット(PDF, 30MB)をご覧ください。

レポート

まずは坂本氏からデンマークという国が紹介されました。サイズとしては「九州に福岡県民が暮らしている」。日本の2倍の国民負担率(税金負担)によって、教育や雇用機会が広く提供されているそうです。その特徴を一言で表しているのが「フレキュシリティ」。フレキシビリティとセキュリティの合成語ですが、容易に解雇される一方で、手厚い学び直しの機会が提供される仕組みが構築されているようです。

その後、二つの地方の社会課題解決事例が紹介されました。北ユトランド地域(オールボー市)の地域産業再生の取り組みでは、伝統産業から脱皮して新たな産業を興すため、風力発電やICT、人工知能などの産業クラスター(集積)を促進しています。構想の早期段階から「クアトロヘリオス」と呼ばれる産官学民4セクターの相乗効果を生かすことで、支援先は600社を超え、37の海外ネットワークを構築し、1年間で470名の雇用を創出するなど大きな成果を上げています。

続いて、大本氏からオーフス市の事例が紹介されました。ここで行われたのは図書館の再構築。職業教育を受けていない人の増加や識字率の低迷、ITリテラシーの世代間格差などいった問題が発生する中、80年以降減少し続けていた図書館を、この町のイノベーションセンターとして再構築するという取り組みが始まったとのこと。自治体が主体となって、様々な世代の多様な意見を取り込んで未来の図書館のビジョンを作るなど、デザイン思考で課題解決を加速する取り組みを行い、昨年図書館はオープンしました。その結果、4か月間で50万人もの人が来場するなど、大きな成果を上げているそうです。

最後に、このデザイン思考を柱に据えるビジネスデザインスクール(Kaospilot)が紹介されました。混沌(カオス)の状況をあえて作って、プロジェクトを進めさせることで、実践、内省、理論、学びという学習ステップの効果を極大化しているとのこと。大本さんの留学時代のエピソードも紹介され、非常に興味深い学びの場づくりの取り組みだと感じさせられました。

今では幸福度の高さで知られる北欧デンマークですが、昔からそうだったわけではありません。自分自身の姿をありのままにとらえてそれを強みに変えていくしたたかな戦略は、ビジョンと危機感を共有した民度の高い国民が、ボトムアップで支えているように思えます。日本の将来のあり方にも大きな示唆を得られる発表でした。

レポート作成:平井豊康(広報委員)

(2016年次大会レポート)組織イノベーションを実現するためのシナリオプランニングの活用法と考慮点

公募企画 D-4

  • 組織イノベーションを実現するためのシナリオプランニングの活用法と考慮点
    • 新井宏征(株式会社スタイリッシュ・アイデア)
    • 2016年7月30日(土) 17:00-18:15

2016年次大会「組織イノベーション」概要はこちらから。
プログラムの詳細はAdobe_PDF_file_icon_24x24年次大会パンフレット(PDF, 30MB)をご覧ください。

レポート

シナリオプランニングとは5〜10年先の将来において起こり得る未来の可能性を複数描き、その結果を企業や個人におけるさまざまな課題の検討材料として活用する手法。つまり、外部環境を起点としています。また、今を前提とする「リニアな傾向予測」を抜け出し、日頃は予期していない偶発的な出来事(考えられない事)を考えるプロセスが必要となります。技術だけで組織は変わらない。組織の構成員のモノの見方(メンタルモデル)の変化が必要。

イノベーションとは「慣行軌道の乗換え。」イノベーションを短期と長期の2種類に分けて考えた場合、短期では課題発見と課題解決の、長期では蓄積した組織資源を強みに変えるプロセスが必要になります。そして、組織資源の蓄積には外部環境への対応が必須であり、そこに組織学習が大きく寄与する。

都市開発型関連企業向けプロジェクトでは、新社長から新たな会社の将来像を描く目的でシナリオプランニングを実行。このプロジェクトでメンバーから不満が続出した、「シナリオプランニングが良く分からない。」「どんな順番でやるの。」「この成果って何?」この原因は、演者が説明不足であったこと。事前の巻込み不足でメンバーに主体的に参加してもらえなかった。社長の思いが先行していた、参加メンバーの調整への関与が不足していて、人数が多く「なんで自分が?」というメンバーを生んでしまった。この学びを活かして次の順番でシナリオプランニングプロジェクトマネジメントを実行することにした。<(変革の準備:ステークホルダー分析_コアチーム結成)、1.診断:ヒアリング実施_事業システム分析_アジェンダテーマ設定、2.未来を描く:シナリオ作成、3.準備:戦略オプション分析_アクションプラン作成、(変革実施:組織への浸透)>

このシナリオプランニングは組織に次のプロセスで変容を齎す。<理解の変容:自分達を取り巻く環境に対して→関係の変容:シナリオ作成チームのメンバー同士→意図の変容:理解と関係が変り、何をすべきかという意図→行動の変容:理解、関係、意図があわさる>

例えば、グローバル企業であるシェル(オランダ)はグローバルシナリオを全社で共有していて、新しいプロジェクトでは、全てのシナリオの可能性を確認することが求められている。

現実的には「現状」と「斬新さ」のバランスが取れたシナリオが使われる。

シナリオはクライアントが創る不確実な未来を予測したモノ。ファシリテーターや講師として関与するシナリオプランナーのジレンマは、シナリオをクライアント自らが創り上げることが出来そうにない場合、答えっぽいコトを教えたくなるコト。この衝動には留意が必要です。

レポート作成:下村拓滋(広報委員)

2016年次大会レポートを公開しました

2016年7月30日から31日に、年次大会「組織イノベーション」が開催されました。

300名近くの方にご参加いただき、大会テーマについて探求する意義深い時間とすることができました。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました。

プログラムの一部ではありますが、レポートを作成しましたので、公開いたします。

 

年次大会概要

2016年次大会「組織イノベーション」概要はこちらから。
プログラムの詳細はAdobe_PDF_file_icon_24x24年次大会パンフレット(PDF, 30MB)をご覧ください。

 

レポート

(2016年次大会レポート)経営視点で考える組織開発

大会企画 F-2

  • 経営視点で考える組織開発 (第1回ODNJエクセレントアワード組織賞2016受賞講演)
    • 本間浩輔(ヤフー株式会社)
    • 2016年7月31日(日) 14:00-15:15

2016年次大会「組織イノベーション」概要はこちらから。
プログラムの詳細はAdobe_PDF_file_icon_24x24年次大会パンフレット(PDF, 30MB)をご覧ください。

レポート

まず、なぜ企業に組織開発が必要なのかということだが、組織の構成要素が「人」と「人との関係である限り、両者に注目し、必要に応じて働きかけるのは当然である。日本人はそもそもクリエイティブ。イノベーションが行われないのは、組織がイノベーティブではないからで、企業が成果主義をきっちりいれればいれるほど、イノベーティブになっていないのではないかとも思う。

経営者の中には、組織がよくなれば業績がよくなるって本当?と疑問をもつ人もいるが、ODで成長できるのならば、企業は喜んでそれを採用する。では、なぜ企業でODがおこなわれないのか?内部リソースに関しては、「ODを理解して実行できる人がいない」「ODができる人はいるが本人が忙しい、支援体制がない」「組織にODを受け入れる素地(理解)がない」などである。外部リソースに関しては、「任せられる人がいない」「タイミングが合わない」「社内手続きにあわない」ということだろう。社内ODはタイミングがすべて。5割くらいの成功要因がタイミングだと思う。フィットしないで失敗すると、その会社は二度とODやらなくなってしまう。「人間が好きです」「コーチングが好きです」「カウンセリングが好きです」という人がODをやってうまくいかない。費用対効果をみせる必要がある。大前提は企業が勝っていくためにODをいれることだ。

ヤフーではマイナスの状態をゼロにする「有事のOD」から入った。効果が見えやすいからである。誰がみてもうまくいっていない、離職率が高いという組織をターゲットにした。そういう組織のトップは「俺はちゃんとしているんだがメンバーが悪い」と認識している場合も多い。とくに「有事のOD」は緊急性がありタイミングが大事なので、社内ODチームをもつことにした。ODの外部協力者は、課題ではなく手法を手法通り実施してワークがうまくいくことに意識がいきがちである。しかし、会社は成果を求めているのであり、「よいOD」を求めているわけではない。離職率を下げるなど効果を見せる必要がある。また、ODはODだけで考えていない。制度や人事異動アセスメントなど、全体像や補完関係を理解したうえで、介入すべきであり、外部協力者はここに対応しにくい。

ヤフーでは組織を活性化させ、パフォーマンスを最大化することがリーダーの仕事ならば、リーダーが組織の開発を支援するのが当然であると考えている。ワークショップや合宿など1回で組織が開発されることはない。ODはまさに「組織文化への水やり」であり、耕して空気を入れて芽が出るようにするという感覚がちょうどよい。社内でできないことを社外に頼めばできるという甘い期待をもたないことも重要。また、インターベンション(介入)はリスクを伴う。一人辞めるかもしないなどのリスクをもちながらという場合もある。ODは総合格闘技。評価から、何からなにまで総合して考える。あえて問題のある人の給与を上げる場合もある。敢えて嘘をつかなければならないところもある。そこまでして組織をよくしていくものである。

ゼロをプラスにする「平時のOD」では、「自分たちの組織がやばい」ということを認識してもらうことが重要。ES調査をしてフィードバックする。ESの高低を言わなくても、のどが渇いてODの必要性を認識してもらえる。最近ではODが社内に広がってきて、社内ODチームは介入型ではなく、介入する人を育てたり、リーダーにODを教える役割を担っている。

レポート作成:渡邊壽美子(広報委員)

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