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【ODNJ研究会 開催報告】Covid-19で加速する リモートワークとマネジメントのパラダイムシフト

2020年5月23日、トオラス代表 田原真人さんによる「Covid-19で加速する リモートワークとマネジメントのパラダイムシフト」を開催しました。
Covid-19の影響で、ODNJ研究会はじめてのオンライン開催になった本セミナー。
海外在住ですべてリモートワークでのお仕事をされていて「zoomオンライン革命」というご著書もだされている田原さん、このタイミングでお話をお聞きできることは大変ありがたく、期待されている方が多かったようです。
募集期間が短かったにも関わらず、参加者は約60名。ODNJ会員以外の方も参加いただきました。

オンライン化やリモートワークについて興味のある方、実際にリモートワークを進めていて知見を得たい方、これからの新しい働き方に興味のある方など、いろいろな目的で参加された人がいらっしゃいました。
そのような中、今回のお話は大きく2つ。
ひとつは、田原さんがこれまでの経験からつくりあげてきた「トオラスという考え方」。どんな組織で、なぜそのような組織にしていったのか。
もうひとつは、その組織をつくっていく上での経験や知識をもとにして考えた、今後5年のビジョンについて。

まず前半、「トオラスという考え方」について。
田原さんは「トオラス」というオンライン上の自律分散型組織を運営しています。
トオラスとは造語で、”組織内外の境界を緩やかにしてオンライン環境で人や情報が渦のように循環する活動”をイメージしているとのこと。
人間を、組織の部品とするのでなく、外から何かを受け取って多様なものを生み出す創造的な生命体としてとらえなおし、その人間が共創していく状態をモデル化すると、外部と内部の境界がなくなってくるとのことです。境界がなければ、リソースは無限にあり、必要なことをするためのリソースをどんどん集めてつくっていくことができる。集まった人たちが、会社のコントロールではなく、自律的に考えコラボレーションしながらプロジェクトを進めたり立ち上げたりして成果をあげていく。
そのような組織をつくって動いてきた知見と、もともと組織開発などを行ってきた方々の経験などから、コラボレーションして新しい組織開発や人材開発がうまれそうというお話があり、みなさん興味をひかれたのではないかと思います。

このお話のあとに、参加者数名ずつで、トオラスの考え方をどう生かせるかいうディスカッションを行いました。
経営者だったり、外部実践者(コンサルタントとして組織に関わる方)だったり、人事の方だったり、社内の人だったり、いろんな立場の方がいらっしゃったので、すぐに取り入れられそうという方から、自分の組織では難しいという方、取り入れる方法が検討できそうという方など、レベル感はさまざまですが、みなさんトオラスの考え方や組織のつくり方に共感され、ぜひこの考え方を取り入れてみたいという方がたくさんいらっしゃいました。

後半は、これまでの経験から考える、今後5年のビジョンのお話でした。
オンラインならではのよさがあるので、現在のオンライン化、リアルでできることを代替しているのがメインの状態から、これからはオンラインならではの領域を増やしていくようになる。
今はオンラインで制限があったり規格化されたりした状態が多く、リアルから劣化した一方向コミュニケーションがメインになっているが、多様化していくと、リアルを拡張した双方向コミュニケーションができるようになる。
現状しか見ないで元に戻ろうとしてしまうか、新しいものがうまれてできることがどんどん増えるこれからのオンラインを見て進もうとするか、2極化していくだろうとのこと。
オンラインのメリットについては、これまでの経験から得た、単なる場所を超えるとか情報共有だけではない、組織のつくりかたとしての大きな効果のお話もありました。
オンライン化は急速に進むだろうし、ますますデータが大事になっていくことから考えられる、ものの売り方や作り方の変化もはやくなるだろうとのことです。
どれだけその変化を見れるか、変化に乗っていけるかが組織の力を問われそうです。

質問タイムでは、業務によっての進め方や、自律的な人を組織にいれるための話、リモートワークでのマネジメントの話など、リモートワークやオンライン組織を進める上で困ったり悩んだりしそうな、具体的な進め方のコツなどもお話してくださいました。

新しい組織の考え方や、オンライン化・リモートワークでの知見、これからのビジョンの話を聞いて、自分は?自分の組織は?と、これからのことを考えるきっかけになったかと思います。具体的な目の前の課題の解決のヒントをいただけた方も多かったのではないでしょうか。

講師の田原さん、ご参加のみなさま、ありがとうございました!

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