組織開発の実践と学習のコミュニティ

年次大会報告レポート

2024年11月23日(土)に品川シーズンテラスで年次大会を開催しました。

今回は、ODNJがNPO法人として10周年の節目をむかえたことを記念した大会となりました。10年間の歩みをふりかえって関わってこられた方々に感謝をしつつ、学びや交流をとおして組織開発やODNJの今を感じ未来を語り合いたい、そのような趣旨での開催でした。

この記念すべき大会の基調講演には、サイモン・フレーザー大学ビジネススクール教授で対話型組織開発の権威であるジャーヴァス・ブッシュ氏、学習院大学経済学部経営学科教授・一橋大学名誉教授で人的資本経営の第一人者である守島基博氏をお招きし、それぞれのご専門の視点から、組織開発の未来や今後の役割を語っていただきました。

また、初の試みとして、ポスターセッションの時間をもうけ、会員の方々にODNJ内外での活動や研究について発表していただきました。計13チームが発表し、他の参加者の皆様と意見交換や交流を行いました。

会場120名(スタッフ含む)、オンライン25名の多くの方々にご参加いただき、盛況で終わることができました。

以下、当日の様子をかんたんにご報告いたします。

~オープニングまで~

会場には、これまでのODNJの歩みをまとめた年表などを展示していました。
大会開始までの間、また、休憩時間などに、多くの方がご覧になっていました。ODNJに長く関わってきたみなさまには懐かしい思い出を呼び起こし、最近になってから参加してくださっているみなさまには改めてODNJを知るよい機会になったのではないでしょうか。

少人数の勉強会からはじまったODNJですが、今では個人会員240名、法人会員24社を超える組織として活動しています。ここまでさまざまな変遷や苦労などもありましたが、ご参加くださっているみなさまとともに、ここからまた歴史を積み重ねていければと思います。

~オープニング~

大島岳代表理事のあいさつから本大会がはじまりました。
大島氏からは、年次大会の趣旨として、みなさまへの感謝と新しい時代の組織開発の展望に向けたメッセージが語られます。
「みんなでつくるODNJ年次大会にしましょう」という言葉のとおり、この大会のために準備してきた理事や委員長からの自己紹介とメッセージのあと、テーブルごとに自己紹介とチェックインをしあいました。

お互い知り合って対話もはずみつつ、メインイベントへと進みます。

~基調講演①~

まず一つ目の基調講演は、ジャーヴァス・ブッシュ氏による「ODの世界的動向と、今後の組織におけるODの役割」です。
組織の変化が激しい現代において、OD(組織開発)が果たす役割や、その歴史、最新の実践手法について語ってくださいました。

※内容詳細については、こちらの基調講演レポートをご覧ください。
ODの世界的動向と、今後の組織におけるODの役割:ODNJ年次大会2024 基調講演① »

ブッシュ氏は、ODの本質が「組織の適応能力を高めること」にあるということを述べられていました。
技術的な解決策ではなく、対話・関与・探究を通じて組織の変革を支援するアプローチが求められており、特に、ラージグループ手法や生成的リーダーシップの実践が、これからの組織開発の鍵となるとのことです。

オンラインでの講演でしたが、ところどころで問いを投げかけてくださってのグループ対話があったり、最後に質疑応答の時間もあったりして、参加者同士やブッシュ氏とのやりとりも踏まえてさらに考えが深まったのではないかと思います。
質疑の時間では、パーパスとビジョンについて、生成的リーダーシップについてなど、予定の時間をこえて活発なやり取りが行われました。みなさまの関心の高さがうかがわれました。

※ブッシュ氏の理論や実践についてもっと詳しく知りたい方は、以下の書籍もご覧になってみてはいかがでしょうか。
『実践 対話型組織開発生成的変革のプロセス』 (2025年1月発売)

~ポスターセッション~

ポスターセッションはお昼休みの時間を利用して、リラックスした雰囲気で行われました。
ランチの合間に自由に興味のあるブースを訪れ、発表を聞いたり意見交換をしたりし、発表者と参加者との交流だけでなく、参加者同士でも和気あいあいと感想を述べあったり話し合ったりする姿が見られました。
発表してくださったのは13チームの方々です。
ODNJ内での活動についての発表や、企業や学校など組織内での実践事例、実践をとおしての研究事例やODとほかの手法との応用についてなど、多種多様な発表がありました。

ポスターセッションの発表者と内容詳細はこちら »

発表の多様さは、外部実践者、内部実践者、研究者が参加し、企業や大学などとも連携して活動をしているODNJならではだと思います。
ポスターセッションをとおして、さまざまなメンバーがいろんな実践や研究をしていること、また、さまざまなメンバーの組織開発への思いやかかわりなどを知っていただけたのではないでしょうか。

~基調講演②~

二つ目の基調講演は、守島基博氏による「人的資本経営における組織開発の役割」です。
企業の経営戦略や労働市場の変化に伴い、人的資本経営の重要性が増している中で、組織開発が果たすべき役割について語ってくださいました。

※内容詳細については、こちらの基調講演レポートをご覧ください。
人的資本経営における組織開発の役割:ODNJ年次大会2024 基調講演② »

守島氏は、組織開発とは人が輝く土台づくりであり、人の資本を活かして全員戦力化するために、組織力の強化=組織開発が重要だと述べておられました。
会場にて講演された守島氏は、途中壇上から降りて会場をまわり、参加者の方々を見ながらお話してくださいました。参加者に問いかけたり、グループ対話を行ったりしつつ、講演が進められました。
質疑の時間では、全員戦力化、エンゲージメント、個の尊重、マネージャー育成など、いろんな質問が出て盛り上がり、こちらもみなさまの関心の高さがうかがえました。

~クロージング&懇親会~

クロージングでは、本大会のお礼や終わりの挨拶に続き、初代代表理事の西川耕平氏、前代表理事の中村和彦氏からODNJに対する期待の言葉をいただきました。そして、著名な組織開発実践者であり研究者でもあるボブ・マーシャク氏からのビデオレターが会場に投影されました。
その後の懇親会では、これまでかかわってこられた縁のある方々から温かいメッセージをいただきました。歓談の時間もたいへん盛り上がり、ご参加のみなさまだけでなく理事やスタッフもみんなが楽しめる時間になりました。
ODNJのメンバー同士、また登壇者やポスターセッションの発表者の方々とも話せる機会となったこともあり、みなさま大変話が盛り上がっていたようです。
ここからまた新たなつながりができていき、ODとODNJの未来が広がっていくことを願っています。

盛況に終わった、10周年記念の年次大会。

ご参加のみなさまも、関わってくださったみなさまもありがとうございました。
みなさまにとって、新しい時代の組織開発を考えるきっかけとなったのであれば大変うれしいです。
今後もODとODNJの発展のため、一緒に歩んでいければと思います。

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